Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme
兵助はのこのこと立って来て、牢の一方の格子の角をゆすると、どうしたものか、その柱の一辺がガタガタと弛んで、見ていると、そこから人間が楽々と這い出しかねない隙間をこしらえて見せました。
「ふーむ」
と、奉行は目をすましてそれを見る。
「お奉行様、年はとりましたとは言うものの、兵助もまだ四十台でございますよ、やれとおっしゃれば、こんなヤワな細工をおっぺしょって娑婆へ飛び出して、もう一働きも、二働きも、罪を作るのは朝飯前でございますが――何を言うにも、もう四十の坂を越しましてな」
「四十がまだ若いというのか、年をとり過ぎたと申すのか、わからん」
「どちらにお取り下さってもよろしうございますが、盗人と致しましては、四十はもう停年でございますな」
「どうして」
「私が今日まで見ましたところが、盗人をする奴は二十五六止り、大抵その辺で年貢が上って、三尺高いところへ、この笠の台というやつがのっかるのが落ちでございますが、不思議とこの兵助は餓鬼の時分から手癖が悪いくせに、こうして御方便に四十の坂を越して、安穏に牢名主をつとめさせていただくというようなのは、全く例外なんでございます。