Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
そこで、蚊の話が一座の話題の興味になると、例の一茶びいきの俳諧師が、
蚊一つに施し兼ねしわが身かな
これは一茶らしい主観があっていい。皮肉にも、慈悲にも、同様に取れるところが一茶の身上である。
閑人や蚊が出た出たと触れ歩き
も自然のウイットがあって面白い。たくまずして気の利いた状景をとらえたところが眼に見るようである。それに比べると、蜀山人が、松平定信の改革を諷して、
世の中に蚊ほどうるさきものはなし
文武といひて夜も眠られず
は、露骨にして、下品で、野卑だ。
松平楽翁ほどの名政治家の改革ぶりを、蚊にたとえて、御当人得意がっているところが、自身の薄っぺらな腸を見せつけているようでイヤだ、という者もありました。
その通り……いったい、今のやつらはそれよりも、もっと皮肉が下等で、諷刺が糠味噌ほども利かない。蜀山人などは江戸ッ子がって、ワサビのように利かしたつもりだろうが、その利かせるつもりが、鼻についていけない。
本当の諷刺や、皮肉は、自然にして、温雅にして、同情があって、洞察があって、世間の酸いも甘いもかみ分けて、それを面にも現わさず、痒いところへ手が届きながら掻かず、そうしてその利き目が、時間がたつほど深刻に、巧妙に現われて来るものだが……本当の諷刺家がいないのは、つまり本当の批評家がいないのだ、というような議論