Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
これはどうしたのだろう。駒井の手もとへ置いてもらうようになって、その精神がすっかり落ちついて、こうも、たしなみのよいお嬢様の昔に返ったのか。それとも、逢いたがっていた清澄の茂太郎が来たので、その喜びから乱れた心が一時に納まったのか。とにかく、岡本兵部の娘の今の有様は、精神にも、肉体にも、なんらの異状を認めることができず、このままこの家庭の一員として、誰が見ても調子よく納まっているのは、以前を知っている者の眼から見れば、不思議というばかりです。
不思議なのは、そればかりではない。以前を知ったものにとっては、幾多の痛々しいものを知っているでしょう。知って、言わずして過ぐる人の眼には、複雑な嘲笑の色を含んではいるが、当人は、淋しく取澄ましてそれをやり過ごす。それが痛々しいとも見られるし、食えないとも見られる。どちらでも取りようです。
糸を巻かせながら茂太郎は、何か物足らないような風情で、
「殿様殿様というけれど、どうしてあの人は、殿様なんだろう?」
「どうして殿様だって、あの方は殿様なんだもの」
「だって殿様というものは、槍を立てて、お供をたくさん連れて、乗物に乗って、前触れをして、お通りになるんじゃないか。