Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
それでも、まだ返答がない。
「なんて不実な人でしょう、いったい、独り者なんて、みんな不実に出来てるのよ、起きないと承知しないよ」
この分では起しに来るかも知れないと、兵馬はヒヤリとしたが、これは女の虚勢で、口さきだけのおどしに過ぎないものだから安心する。
その時、女がしきりに畳の上を撫で廻しているのは、多分、煙草がのみたくなって、煙管をさがしているものらしい。ところが、なかなか手にさわらないものだから、じれったがり、
「ああ、つまらない、せっかく帰って来ても、お帰りなさいと言ってくれる人はなし、お湯は冷めきってしまってるし、煙草まで隠してしまわなくってもいいじゃないの」
何かにつけて突っかかりたがる。これは、したたかに酔っぱらっている証拠である。兵馬は厄介者が舞い込んだなと思いました。
しかし、警告を与えて立退きを命ずるより、当人の気のつくまで待った方が世話がないと、身動きもしないで寝ていると、この闖入者は、金椎をおびやかした者よりも遥かに気が強く、トロンとした眼を兵馬の寝ている方へ据えて、
「お起きよ、房ちゃん――今日のお祭に、面白い弥次馬が出たことよ、妙なおじいさんが飛び出して来てね、すっかり世話を焼いちまったの、ずいぶん皮肉なおじいさんよ、それでも、なかなか言うことが通っているから、油断がならないのさ