Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
そこへ三助がはいって来て、旦那なるものの噂になると、兵馬をして全く失笑せしめる。
ゆうべ、女に逃げられたと気がついた旦那なるものの、血眼になって、あわて出した挙動というものが、三助の口によって、本気の沙汰に聞えたり、冷かしにされたり、さんざんなものとなる。
ははあ、眠るということは大した魔力だ。白隠和尚は船の中で眠って、九死一生の難船を知らなかったというが、自分は眠ってしまったから、昨晩あれからその旦那なるものの、うろたえ加減、血迷い加減、また上を下へと、その逃亡芸者を探しまわった人たちの狂奔というものを、全く知らなかった。
聞くところによると、その旦那なるものは、半狂乱の体で、自分が先に立ち、人を八方に走らせて、くだんの芸者の行方を探索させたのだそうな。お義理で、ここのうちの雇人たちも、朝まで寝られなかったとのこと。
しかし、その結果は絶望で、可愛ゆい芸者の行方は、どうしてもわからない。
手のうちの珠をとられた旦那というものの失望落胆は、ついに嫉妬邪推に変って、誰ぞ手引をして、逃がした奴があるに違いない、そうでなければ、これほど手際よく行くはずがない――見ていろ、と自暴酒を飲んで、焦れているということ。