Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
旦那殿は、意地も、我慢も忘れて、自分が溺れでもしたように、大声をあげて救いを求める。
水に心得たものがあって、忽ち井戸へ下りて行ったが、つかまえて見ると意外にも、それは着物ばかりで、中身がなかった。
ただし、その着物ばかりは、まごうかたなき昨晩のあの芸者の着ていた手古舞の衣。
では、中身が更に水底深く沈んでいるに違いない。
水練の達者は、水面は浅いが、水深はかなり深い水底へくぐって行ったが、やや暫くあって、浮び出た時には藁をも掴んではいなかった。
つづいて、もう一人の水練が、飛び込んでみたがこれも同様。
水深一丈もあるところを、沈みきって隈なく探しはしたけれど、なんらの獲物がない。
そこで、また問題が迷宮に入る。
いしょうだけがあって、中身がないとすれば、その中身はどこへ行った。
ああ、また一ぱい食った!
太閤秀吉が、蜂須賀塾にいた時分とやらの故智を学んで、着物だけを投げ込んで、人目をくらましておいて、中身は逃げたのだ。
どうしても、しめし合わせて知恵をつけた奴がある。
そうして、この場合、いったん、帳消しになって宿の主人を安心させた宇津木兵馬と、仏頂寺、丸山の両名が、またしても疑惑の中心に置かれる。