Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
ただ、そのうちの一つに、人がいるのだか、いないのだかわからない暗澹たるものがありました。
兵馬が、のぞいて見ると、蒲団部屋になっている。
蒲団が山の如く積まれた中に、どうも気のせいか、人がいるように思われてならぬ。女中でもいるのかしらと最初は思いましたが、女中部屋は帳場から遠からぬところにあるし、第一、こんなかけ離れたところへ女を置くはずはない。では、夜番の者でもいるのか知ら。それもうけ取れない。
兵馬は、ただその部屋だけに多少の心を残しましたけれど、一面に蒲団が積み込んであるのだから、それを押しくずしてまで侵入する気にはなれませんでした。
いずれまた篤と……そこでまた炉辺へ帰って無駄話をしていると、ふと気がついたのは――もっと以前に気がつきそうなものであったのに――今になって気がついたのは、あがりはなに、隅の方へ押しつけられて、つづらが一つ置きばなしにされてあることです。あまり無造作に置き捨てられてあるから、それでかえって兵馬の気がつかなかったとも思われます。
つづらといえば、どんな山の中にでも備えてある日用器具の一つだが、兵馬が特に見覚えのあるように感じたのは、そのつづらに巴の紋がついていることで、そうして、きのうの途中、四道将軍のような鎧武者がしょって、馬に乗ってまっしぐらに走らせたそれが、このつづら