Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで、いつのまにか長煙管もほうり出して、肱枕になって、やはり、いい心持で弾きまくっている三味線を聞いているところへ、ようやくのことにお雪ちゃんが戻って参りました。

「お待たせ申しました」

「長いじゃないか」

「でも、火をおこしますと、あんまりよくおこって勿体ないものですから、これで安倍川をこしらえて、あなたに差上げようという気になったものですから、つい……」

といって、お雪ちゃんは、片手には縫取りをかかえ込み、片手にはお盆に載せた安倍川をどっさり持って来たものです。

「一つ召上れ」

「これは御馳走さま」

竜之助は起き上りました。

そこで、炬燵櫓の上で、二人はお取膳の形で、安倍川を食べにかかりました。

竜之助は、これは無邪気なものだと思いました。これが、「何もございませんが、一口召上れな」と言って、お銚子と洗肉をつきつけられたところで、いやな気持はしないが、わざわざ安倍川をこしらえて来て食べさせるところが、お雪ちゃんらしいなと、竜之助も人間並みに、その御馳走が有難く見えたのでしょう。

二人はこうして、さし向いで安倍川を食べながら、お雪ちゃんが、しかけて置いた鉄瓶の湯を急須に注ぎました。