Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
それは大看板を大看板として、大名題を大名題として、大舞台で、大がかりな興行をやる分には、面と資本さえあれば誰にもやれる芸当で、本当の興行師の腕とはいえない、誰も知らないものを、誰も知らないところから引抜いて来て、それを養成して、そうして付焼刃ではないところの本値を見せて、あっといわせるところが、興行師の腕であり、自慢である、と心得ているお角――未だ知られざる名物を発見しようとする熱心と、炯眼とは、先天的といっていいかも知れない。
だから、ここでも、講釈を聞きに行かないかとすすめられて、打てば響くように、その商売心をそそのかされたものですから、二言ともなく、
「行きましょう、行ってみましょう、案内をして下さい」
キリキリと帯をしめ直して、さて、考えたのは、若い衆を連れて行こうか、それとも一人で行こうか――ということであったが、若い衆は旅の疲れもあるから、ゆっくり寝かしておいてやれ、近いところだということだから、一人で行って見てやれ――という気になりました。
九
講釈場へ案内されて行って見ると、かなりの席で、かなりの入りがあります。
大看板には「南洋軒力水」