Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

その後、子供たちは遂に与八さんを、小舟に乗せて遊ぼうじゃないかと言い出しました。

「ああ、それがいいや、先に与八さんに石を積んで大勢して遊んだから、今度は与八さん一人を舟に乗せてやろう」

忽ちに気が揃って、与八ひとりが舟に乗せられ、素早く裸になった子供たちは、ざんぶざんぶと川へ飛び込んで、その舟を前から綱で引き、両舷と後部から、エンヤエンヤと押し出して、多摩川の中流に浮べました。

従来、与八は、馬鹿の標本として見られておりました。今日とてもその通り。ただ馬鹿は馬鹿だが、始末のいい馬鹿というにとどまるのが与八の身上であります。

狡猾なのは、この馬鹿の力を利用して、コキ使い、米の飯を食わせるといって、食わせないで済ますことが、子供の時分から多いのでありますが、与八は欺かれたとても、あんまり腹を立てないことは今日も変ることがありません。

欺かるるものに罰なし。それをいいことにして、ばかにし、利用し、嘲弄している者が、暫くあって、なんだか変だと思いました。

欺かるる者に平和があり、微笑があるのに、欺いた自分たちに幸いがない。与八を追抜いたつもりで、さて振返って見ると、後ろには与八がいないで、ずんと先に立っているのを見て、ハテナ、と首を傾けた者が一人や二人ではありませんでした。