Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
彼はこの機会にはしなくも、おさな子の本性を呼び起して、故郷に帰る心を以て、人間の本性にさかのぼるの発心を起したものか、或いはこの世の最も罪のないものを捉えて、自分の邪悪のすさびに食糧とするつもりか、そのことはわかりません。
ただ、この際、主膳がこれからひとつ、子供を遊び相手にしてやろうとの心を起したのは、布袋子が、子供に取巻かれたというのが羨ましいのでもなく、越後の良寛和尚が、子供に愛せられたのを模倣してみたいというのでもなく、まして、かのお松と、与八とが、武州沢井の奥で、子供らのために、友となっているそれとは、心に於ても、形に於ても、天淵の差あることは勿論なのであります。
しかし、かりそめに主膳が、こんな心を起してみている際に、お絹という女は、お絹という女らしい退屈まぎれの方法を考えているのでありました。
今日は、またひとつ、お芝居にでも出かけてみようか知ら――
これが、この時のお絹の思案であります。芝居見物もいいが、いつも同じ女の子を相手にして見に行くのではつまらない、誰か相当の連れはないかしら。
わかりがよくって、話の面白い連れがあれば、同じ芝居でも、いっそう面白く見られるのだが――そんなものは有りはしない。