Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

これも昼火事でございましたね。火元は青山の権太原で、麻布三軒家から、広尾、白金、高輪まで、百二十六カ町というものを焼き尽したんですから大したものです。死人、怪我人のほかに、海へ落ちて死んだものが沢山ありました。それと、あの時、人を驚かしたのは、あるお大名屋敷に飼ってあったという荒熊が一頭逃げ出しましてな、それに朝鮮人が押しかけて来たというような騒ぎで、あっちへ熊が出た、こっちへ鬼が出たという騒ぎで、火事よりもこの方が人を脅したものでございました……ところがその翌年の丙午ですな、その正月がまた大変で、これは夕方から始まりましたが、小石川片町から出まして、翌日の九時過ぎまで焼けつづき、炭町の竹河岸で止まりました。長さはおよそ一里十余町、町数にして二百九十余カ町――その次に大きかったのが昨年の……」

「もうよろしい。七兵衛、お前は田舎にいながら、江戸の火事の焼け抜いた抜け裏まで知っているようだ」

「火事は好きだもんですから、駈け出して見る気になるんでございます。好きというのも変ですが、ついあの威勢がいいもんでございますからなあ」

「まさか、お前が、田舎から飛び出して来て、火をつけて歩いたわけじゃあるまい」