Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「おい、われわれどもは剣術を遣いに来たのではないぞ」
七人の者が、与八を取囲むようにしました。
「はい」
与八は、ぼんやりしました。いつもの客ならば、それで納得して帰るはずなのですが、これは剣術のために来たのではない――と言う以上には、何か別用があるに相違ない。それは、ちょっと今の与八には解せないことだと思いました。
「主人がいるか、主人がいるなら出せ」
「はい」
と与八は、七人の異体の知れぬ豪傑の面をパチクリと見ただけで、主人へ取次ごうともしないらしいから、七人の異体の知れぬ豪傑のうちの一人があせり出し、
「おい、主人がいるかと申すに。われわれどもが揃って、こうして主人に面会に参ったということを早く取次げ」
「はい」
与八は、やはり呆気に取られて、箒を斜めに持ったなりで、はかばかしい返事もしないし、取次ぎもしようとしないから、
「早く、主人に取次げと申すに。われわれどもが打揃って参ったことを、主人に取次いで参れ、参れ」
「はい……あの、皆々様、まことに済みませんでございますが、こちらの家には、主人というものはおりましねえのでございます」
「ナニ、主人がない……主人のない家というものがあるものか、主人のない家というのは、首のない胴体と同じことだ」