Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「冗談いっちゃいけません、犬に吠えられる奴が、みんな悪い奴であった日にゃ、夜道をする奴はみんな泥棒……だね」
「犬に吠えられる奴が、みんな悪い奴たあ、いえねえかも知れねえが、ムクに吠えられる奴は悪人だ」
「どうして」
「ムクという犬は、いい人に向っては、決して吠えねえ犬なんですから……」
「いよいよ冗談ものだ、人間でせえ、人物の見定めというものは容易につかねえ、まして犬に、人間の賢愚、不肖がわかってたまるものか」
「ところがムクには、それがわかるから不思議じゃありませんか――もし、お前さんが、ムクに吠えられて、ムクに追われたとしたら、お前さんは、たしかに悪いことをして、そうしてここへ追いつめられておいでなすった人に違えねえ……」
与八がキッパリと言いきったので、七兵衛が、思わず眼をみはって与八の面を見ました。
与八の言葉を聞いた七兵衛は、非常に驚かされてしまいました。
この若い男は、少し足りない男のように思われるが、その言い出すことは、人の腸を読んでいるようだ。
いや、この男が読んでいるならとにかく、その何とかいう犬が、こっちの裏も表も読みきっていて、善悪正邪も、賢愚不肖も、いちいち鑑定して置いて、吠えにかかるのだというのが癪じゃないか。