Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「いかがでござる、道庵先生、木曾街道の印象は……」
「悪くないね」
道庵が仔細らしく杯を下へ置いて、
「第一、この森林の美というものが天下に類がないね……尤も、ここに天下というのは日本のことだよ、日本だけのことだよ、同じ天下でも支那のことは知らねえ、崑崙山や、長江の奥なんぞは知らねえ、アメリカのことも知らねえ、日本だけの天下ではまず……といったところで、薩摩の果てや、蝦夷松前のことは知らねえ、甚だお恥かしいわけのものだが、まず愚老の知っている範囲で、木曾の森林にまさる森林は、限られたる天下にはあるまいね」
「御尤ものお説でございます、森林の美は木曾にまされるところなしとは、先生のお説のみならず、一般の定評のようでございます」
「そうだろう、第一、色が違わあね、この堂々として、真黒な色を帯びた林相というものが、ほかの地方には無え」
「樹木の性質と、年齢とが違いますからね。まずあの檜林の盛んなところを御覧下さい」
「なるほど、檜だね。檜は材木としては結構だが、こうして大森林の趣にして見ると、なるほど檜は材木の王だ。椹も大分あるようだが、あいつも悪くないね」
「左様でございますよ、御承知の通り檜に椹、それから高野槙と羅漢柏、を加えまして、それを木曾の五木と称えている者もあるようでございます」