Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
見える。
七兵衛は今、その最も賢い方法を取って、御行の松の下に、ぴったりと身をひそめているが、多少イマイマしいと癪にさわることがないでもない。
こういう種類の人間には、幸先や、辻占というようなものを、存外細かく神経にかけることがあるもので、七兵衛はそれほどではないが、全く無頓着というわけでもありません。
この屋敷へ、夜毎出入りすること幾度。それは正当に出て、正当に戻ったことは少ないにかかわらず、まだ今夜のように犬に吠え出されたことがないのに、しかも今夜ほど大望をいだいて、この屋敷を出かけたことはない。
どうやら、仕事先が気にかかる。
「いけねえ、いけねえ……」
そこで、七兵衛が、何となく気を腐らせてしまいました。
七兵衛の心に、悔恨といったようなものが湧くのは、今にはじまったことではない。
七兵衛は、今度の仕事を終ったら、これで切上げ……と決心のような事をするのも、今にはじまったことではない。その心持につき纏われ、その心持で仕事にかかりながら、それをやり上げてしまうと、また新しい病が出ることを、自分ながら如何ともし難い。
しかし、今度こそは一世一代……これで年貢を納めるか、引退して余生を楽しみ得るか、という千番に一番。