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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「お勝はどうした、三郎も一緒か」

と叫びました。

お銀と、弁信と、二個の生命が、ともかくも無事でここへ現われて来たのが夢でない以上は、つづいて、もう二つの最愛の後妻と、生みの男のひとり子とが、そのあとに続いて来てもよかりそうなものではないか。

ところが、それが無い!

伊太夫は片腕にお銀様を抱えながら、しきりに片手を振って叫びました、

「お勝――三郎、三郎とお勝はどうした、お勝と三郎はまだ見えないか」

しかし、いずれからも、その二人の姿は見えて来ないのみならず、どちらから来る報告も、その有望をもたらすことがありません。

伊太夫は絶望の眼を以て、火の色を見つめました。

しかし、前にいうところの如く、たとい余燼なりといえども、この余燼の灰を掻くまでには、まだ相当の時間を待たなければならないことです。よし、相当の時間を待ってみたところで、この盛んな大家の災火の底に、かりに不祥極まる運命の人間が横たわっているとして、その一片の舎利を発見し得る望みがありますか。

伊太夫の周囲を取巻く人は、みな、期せずして同じように、絶望の色を漂わせていないものはありません。

それは、前後の事情を聞き合わせて想像してみると、どうしても、不祥な判断に落ちて行かないということはできないのです。