Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
親子兄弟の間が棟を別にして、絶えて往来をしないという家風――そこからだれの頭にも、この事変に関聯して、怖ろしい想像が湧かないということはないが、物蔭のゴシップにしても、そこまでは口にのぼせていう者がない。
この時分、お銀様はもう、ずっと離れた文庫蔵の二階へ来て、屏風の中へ身をうずめてしまいました。哀れなる弁信は、かねて、自分の居間と定められた、お銀様の家の一部を焼かれてしまったものですから、身を置くところがありません。肝腎のお銀様がそれを忘れて、かまわないでいるくらいですから、誰とて弁信のために手引をして、新しい座敷を与えてやろうという者がありません。
ぜひなく、欅の大樹の下に莚をしいて坐り込みました。
けやきの大樹の下に座を構えていた弁信は、今、眼前に大きな火の海を見ました。
大火がおおよそしずまった時分になって、はじめて弁信は、その見えぬ眼前に、広大なる火の海を見ました。
火焔何十里にひろがる火の海を見ましたが、弁信の見た火の海は熱くありません。色は赤く、紅蓮のように金色を帯びてかがやき渡りますけれど、その火は熱くありませんでした。それは紅蓮と、金色とを流動して見せる、かぎりなき池でありました。