Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
六
同じ日の同じ時刻。七兵衛は、やはり三田四国町の、薩摩屋敷に近い越後屋というのにはいり込み、わらじを取ったままで食卓の前に、どっかりとすわり込みました。
この時の七兵衛も無論、もと通りの七兵衛になって、なにくわぬ旅の百姓でありましたが、この広い座敷には、七兵衛ひとりです。
ここは、薩摩屋敷の豪傑がよく出入りするところ。料理屋にして、また酒保を兼ねているところ。百人以上も会合ができるようになっている、その座敷のまんなかに七兵衛ひとり。
日中には眼の廻るほど忙しい店。こう早い時にはガラン堂のようなものです。そこで七兵衛も誰憚らず、とぐろを巻いているところを見れば、もう相当にこの店とは熟していて、木戸御免に振舞うだけの特権があるもののように見える。やがて七兵衛は、ズルズルと革の袋を一つひっぱり出して、その中へ手を差入れて、まず取り出したのがきせると、煙草入。
それを目の子勘定のように食卓の上に置き並べ、次に取り出したのが新しい摺付木であります。
「ああ、摺付木、これだ、これだ」
とほくそ笑みして、その箱を押して、一本のマッチを摘み出し、食卓の上の金具に当ててシューッとすると、パッと火が出たからまぶしがり、あわててそれを煙管にうつそうとしたが、あいにくまだ煙管には煙草が詰めてなかったものだから、