Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
弁信に向ってピグミーが、これから白骨へ出かけてみると言うにはいったが、ここに現われたのは、いくら遠目に見ても、そのピグミーでないことは、姿と、形と、足どりを見さえすれば、誰にもわかることです。
この時代と、年代とに、雪の白骨道を夜歩くということは、全く途方もない現象というべきで、その人柄と、用向とも、全く想像のほかと言わなければならないが――この旅人には相当のあたりがついていると見えて、さのみ臆する模様もなく、道に迷うている者の姿とも見えず、ほぼ白骨温泉場の道をたどりたどって、ともかくも、梨ノ木平のあたりを無事に過ぎて、つい通しの渓流のところまで、さまで深くない雪を踏み分けて、歩み来ったものです。
そうして、つい通しの橋上にかかる時分になって、右しようか、左しようかと、ちょっと思案に立ちどまった時、ふと耳にさわる物の音を聞きました。
それが例の鈴慕の曲なのです――だが、この旅人は、虚空がどうして、鈴慕がどうしてと、聞きわけるほどの耳を持合わせずに、ただ、笛が鳴る、短笛だ――意外にして意外でないと、足を留めて、耳をすましただけのものであります。
この旅人というのは、まぎれもなき宇津木兵馬であります。