Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

、まあ暫く見ていて下さい。

件の木柱を、祭壇の前の程よきところへ寝かして、道庵はしきりに、文句の吟味と、字配りの寸法に、思案を凝らしているようでありましたが、並みいる連中は、この老先生のお手のうちを拝見しようと息をこらして、固唾を呑んでいるばかり。やがて道庵は墨痕あざやかに、すらすらと次の如く認めました。

「豊臣太閤誕生之処」

この八文字が墨痕あざやかに認められたのを見ても、並みいる連中、うんともすんとも言いません。存外やるな! と、その書風に感心の色を現わしたものもなく、また、待ってましたとばかり、ひやかしを打込むものもありません。

さてはこの先生のことだから、何を書き出して人の度胆を抜くか、いやがらせをやるか、とビクビクしていた者もなく、極めて常識的に出来上ったのが物足らないくらいのものです。

そうしてこんどは側面を返して、それに年月日を書きました。

これもまた極めて無事であります。

それから念入りに裏面を返して、そこにまず「施主」の二字を認めて暫く休み、次にやや小形の字画で、

「江戸下谷長者町十八文道庵居士」

と書き飛ばしたが、誰も驚きませんでした。