Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
快く……ほんとうに今度は快くお別れをして参ったと申しますのが、いつわらざるわたくしの心情でございました。人様がそれほど泣いていらっしゃるのに、それをあとにして快く出て来たなんぞと申し上げますれば、さだめて皆様は、わたくしを憎い奴だとお叱りになることでございましょう。さりながら私は、本気に快く出かけて参りましたことをいつわるわけには参りません――わたくしは、泣けるようになったお銀様の、あの心持を喜ばずにはいられません。無論、あれは喜びの涙でないにはきまっていますけれども、未だ決して懺悔の涙でもございません、何とも名状のできない号泣でございます。けれども、泣けるようになったお銀様、そうして泣きたくなった時に、思いきり泣くことを許されているお銀様を、幸福だと信ぜずにはおられません。そこで、私は快くこうして旅路に出て参ったのでございます。そういうわけで、お銀様には親しく御挨拶をしないで出立して参りましたが、御主人伊太夫殿へは、お世話になったお礼を述べて参りました。この錫杖と鈴でございますか――これは、その時の伊太夫殿から餞別にいただきました。そうしてこれからわたくしはどこへ行く? とおたずねになりますか。