Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
海は豪宕のうちに無限というものの哀愁を教える。山林は身神を放遊して、人に閑雅を与える。
太古、この松林には夥しい鹿が、野生群遊していたという。
大和の奈良の春日山の神鹿の祖、ここに数千の野生の、しかも柔順な、その頭には雄健なる角をいただいて、その衣裳にはなだらかな模様を有し、その眼には豊富なるうるみを持った神苑動物の野生的群遊を、その豪宕な海と、閑雅なる松林の間に想像してみると、これも、すばらしい画題だ! その群鹿の中に取囲まれて、人と獣とが全く友となって一味になって、悠遊寛歩する前代人の快感を想像する。
そうだ、「春日以前の神鹿」といったような画題で、また一つ、この群生動物を中心に一大画幅をつくってみようとの、画興が油然として起るのを禁ずることができない。
画題は有り余る! 彼はかく感ずる瞬間の自分というものを、限りなく果報に感じ出してきた。おれも貧乏に於てはかなり人後に落ちないが、斯様な富の豊富無尽蔵を感じ得る頭脳だけは、無類の幸福者といわずばなるまい。
人は技の拙なるに患いする、材の取り難きに苦心する、もしそれ画題の陳腐を厭うての筆端の新鮮なるを希うに至っては、万人の画家が、ひとしく欲しながら、ついに粉本を出でることができず、前人の足跡より脱することができないのに、こうして、足一歩――ではないが、