Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
お角という女は、お銀様に対してこそ、妙に気が引けてならないが、その他にかけては、無人の境を行くようで、さすがの雲助、胡麻の蠅のたぐいも、はね返して寄せつけない気象。
宿に着いてから出るまで、万端の行き方が小気味がよく、啖呵が冴えきって、行き方がさばけきっている。お銀様は、お角と同じ道中をしてみて、はじめてお角のえらさがわかってきたように思います。
赤坂を出て宝蔵寺まで来た時分に、お角は駕籠の中から、景気のよい旗幟を見て、グッと一つの興味がこみ上げて来ました。
ははあ――興行だな、芝居ではない、相撲だな、この景気で見ると、まんざら田舎相撲とも思われない、江戸か上方、いずれ大相撲の一行が、この辺で打っているのだな――
まもなく、櫓太鼓の勇ましい音。お角の鼓膜にこたえて、感興をそそり、腕がむず痒いような気持がしました。
天性、興行師に出来ているこの女は、見物心理として感興を湧かされるのではありません。いわば剛の者が、戦陣の前に当って武者ぶるいを禁ずることができないように、いやしくも、興行物となってみれば、大きければ大きいように、小さければ小さいように、都会ならば都会のように、田舎ならば田舎のように、技癢に堪えられないで、その物音を聞くと武者ぶるいをするところの病があるのです。