Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

それを逗留させたのは他人ではなく、こうして現に盗み見をしている自分であること。

そうして、あの時分の出来事が、これと同じように平々淡々たる棒書きで、このうちのあるページの記事として見られるということ。それらを発見して――この娘が人から多く愛せられ、人をも愛することの多いこの娘が、全く路傍の人ではなかったことを、この時、この際に発見し得たなら、驚き喜ぶに相違ありますまい。

ところが、お雪には、それほど図々しくはなれなかったのです。ほんののぞき見に、うわつらだけを知らん面をして見て置く分にはいいとしても、それを二三枚さかのぼって見たことすらが、いくぶん良心が咎めているのに、尻を据えて、図々しく盗み見をしてやろうなんぞとは、お雪にはできません。そのままにはして置いたが、なんとなく心残りがないではありません。

そこでお雪は、思い出したように兵馬の身の廻りを取りかたづけて、脱ぎっぱなしにしてあった衣類などを畳んでやりました。

それは気のせいばかりではありますまい、お雪のこのごろは、目立って分別の面だちになりました。誰も気軽にお雪ちゃんとはいえないほどに、老けたというではないが、沈んだところがありありと見えます。