Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうか知ら」

オットセイについて、茂太郎よりも知識の薄弱らしい番兵さんは、勢い、茂太郎のいうところに追従しないわけにはゆきません。事実、オットセイは海にいるということは聞いているが、それが魚類であるか、獣類であるかを、決定的に回答のできるほどの知識を持っていないからです。

やや得意になった茂太郎は、

「海にいたって、オットセイは魚じゃないんだ。鯨だってお前、番兵さん、鯨だってありゃお魚じゃないんだよ、山にすむ獣と同じ種類の動物なんですから」

「え……」

番兵さんが眼をまるくして、今度はうけがいませんでした。

「御冗談でしょう……鯨が魚でないなんて、木曾の山の中で、鯨がつかまったなんて話がありますか」

オットセイについては、自分の知識の不明な点から、圧倒的に茂太郎の言い分に追従せしめられた形でしたが、鯨が魚でないなんぞと言い出された時に、番兵さんがうけがいません。のみならず冷笑気分になって、

「熊の浦で、鯨の捕れたなんて話はあるが、木曾の山の中に、鯨が泳いでいたなんという話は聞かねえ」

木曾の山を二度まで引合いに出しました。そこで茂太郎も応酬しないわけにはゆきません。