Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
ここへ来る以前に、松川が教えてくれたのだ。鹿島の海岸は処女地だ、九十九里の浜どころではない、旅行通を以て任ずるやからでも、まだ鹿島灘を見ないやつがいくらもある、よほどの変り者でなければ、あれまでは行かないのだ、また行ったところで、それだけの心ある奴でなければ、得るところはあるまい。
常陸の磯浜の海岸から、大利根の河口まで、蜒々として連なる平沙二十里、これだけ続いている沙浜はどこにもなく、これだけ美しい弧線を描いている沙浜もほかには見出せない。その海岸線にはただの一カ所の出入りもなければ、岩一つ、島一つもない。あるものは有名なる鹿島の荒灘の水が、豪然として人の快腸を洗うあるのみだ。
こんなところを天下の馬鹿野郎に教えたくない、君だけに教える、行ってその腸を洗って来給え――と教えてくれたから来て見たのだ。
教えにたがわず、来て見れば、鹿島の灘は、わが腸を洗うに十分である。
下津の浜辺を西南に向って歩みながら、白雲は豪壮なる波と、無限の海の広さにあこがれ、眇たる一粟のわが身を憐れみ、昔はここに鹿島神社の神鹿が悠々遊んでいたのを、後に奈良に移植したのだという松林帯を入りて出で、砂丘を見、漁舟を見、今を考えているうちに、頭が遠く古えに飛びました。