Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「友さん」
「お前」
果然、そこで鉢合せが起ってしまいました。しかも、鉢合せをした当人よりも、合わされた米友公が、またしても泡を食わされてしまったのは、返す返すも今晩は、米友の売れない晩であるらしい。
「友さん」と言って、出合頭にそこに立っていたのは即ち、最初から米友が咎めきっていた怪しい物影、人間であるには相違ないが、その家の周囲をうろつき、軒下を走り、或いは塀の下に彳んで、ためつすがめつしていたことらしい証跡の充分にある、その怪しい奴から先を取られて声をかけられてしまいました。
そうして、米友が「お前」と言ったきり立ちすくみになったのは、予期したとは全く番狂わせの立合であったからのことで、すなわち、この怪しい人影はお銀様であったのです。そうして、怪しい人影の、怪しいことを睨んだ点に於てはいささかも誤認はなかったけれど、まさかお銀様であろうことを、米友が睨み足りなかったことに起ったこの場の番狂わせ――
三十一
「友さん、入ってもいい?」
とお銀様から言われて、米友が、
「うむ」
と答えざるを得ませんでした。
米友としては完全なる拍子抜けです。