Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
最初にあの家を出る時は、証跡の誰にもわからないくらいでしたから、当然こんなに火を背負って出て来たはずはない。ここまで来る途中、いつ、どこでということなく、松柏の林をくぐるかくぐりきらないうちに、この通り火の人となってしまったのですが、この火は、世間普通の紅い火のように、この人を焼く力を持っていないことは確かで、かくも全身に火を背負わせながら、その足どりとしても、息づかいとしても、従前とさのみ変ることはなく、強いてわれともがいてその火を揉み消そうなんぞとしない落着きを見ても、青くして盛んなる火には相違ないけれども、熱くして人を傷つける火でないことだけは認められる。
のみならず、この物影がはっと物を踏み越えた時は、その足許から、木の間のさわりを払おうとして手を挙げた時は、その手先から、或いはくぐり入ろうとして傾けた頭巾の上から、つまり、全身からは全身として発火している上に、個別的に四肢五体の一部分を動かせば、その動かしたところから、青い火が湧いて出るのです。
柳川一蝶斎の一座の手妻に、水芸というのがある。錦襴の裃をつけた美しい娘手品師が、手を挙げれば手の先から、足をあげれば足の先から、扇子を開けば扇子から、裃の角からも、袴のひだからも水が吹き出す。