Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

と美人が押返してたずねると、賢母が直ちに答えました。

「はい、お聞きの通りでございます」

「そうして、あの長浜に御親類のお方が、たいそう出世をあそばしておいでなさいますそうで、それへ御子息をたのみにおいでの由を承りましたが」

「はい、仰せの通りでございます」

「つきましては、甚だ不躾でございますが、わたくしの考えだけを申し上げますと、それはおやめになった方がおためかと考えますのでございますが……」

「何と仰せになりましたか」

「はい、御子息様を御親類の方へお連れあそばして出世をおさせ申すことは、おやめになった方がおよろしくはございませんかと、わたくしはさように申し上げたのでございます」

「では、わたくしたちが長浜へ参るのは、悪いとの仰せでございますか」

「その通りでございます、御子息様をお連戻しになって、尾張の中村へお帰りになるのが、あなた様方のおためかと存じまして」

「それはいったい、どういうわけでございましょう」

「まあ、お聞きあそばせ」

水門に腰かけている美人は、提灯を提げていささか立ち煩っている賢母に向って、あらためて物語をはじめました、

「わたくしは、出世をすることが必ずしも人の幸福ではないと覚えておりまする、幸福でないのみならず、出世をするのは、人間の最も大きな不幸と災禍の門を入るものと覚らずにはおられないのでござい