Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
またその機転が利いていたところで、当身や活法は、施すべき時と相手とがある。今この際、このか弱い病源不明の者に向って、手荒い活法を試むることがいいか、悪いかの親切気さえ手伝ったものですから、いよいよ手の出しようが無くなったのです。そこで、いよいよ深く、いよいよ強く、お雪ちゃんを抱き締めてしまって、
「しっかりしろ、お雪べえ――」
幸いにして、ほんとに有るか無きかのささやかな希望のひっかかりを与えたのは、この時、こころもちお雪ちゃんの体の動きに少し力が見えました。
「しっかりしろ、しっかりしろよ、お雪ちゃん」
同じようなことを繰返して、米友が抱きしめてゆすぶる間に、有明ながら行燈の灯は相当の光をもっていたのです。その光が蒼白くお雪ちゃんの面を照しているものですから、それで見ると、死人同様な面の上に、ほんのこころもち、唇だけをいそがわしく動かしているようにも見える。それを見て取ると、米友が眼から鼻へ抜けました。
「うむ、そうか、そうか、水が欲しいか、水が飲みてえか、そうだろう、待ちな、待ってくんな」
恰もよし、枕許に水呑がある。それを、お雪ちゃんを抱きながらの米友がいざって行って、片手をのばして引寄せると、ちょっと考えて、その水呑の口をお雪ちゃんの唇のところまであてがってみたが、それではどうにもならないと諦めると、