Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

たものの身になってごらんなさいまし、やりきれたものじゃありません、その中でもこのわたしなんぞは……」

ここでまた泣落し。それは、ちょっと文字ではうつし難い。歔欷流涕という文字だけでも名状し難いすすり泣きと昂奮とで、

「お役所へお呼出しを食ったり、お茶屋さんでお取調べを受けたり――何か、わたし風情が、あの一件に黒ん坊でもつとめているかなんぞのように、痛くない腹を探られるので、全くやりきれません――それはお代官の御前の有難い思召しを承るには承りましたけれども、あんまり有難過ぎますから、御免蒙っちまったばっかりなんでしょう――あの一件についちゃあ何も知らないわ。全く知らないものを、朝から晩まで根掘り葉掘りお取調べをうけて、まだ、なかなか御用済みにならないばっかりじゃなく、かんじんの、わたしよりも一件に近い人はみんな姿を隠してしまったものですから、わたしだけが、人身御供のようになって動きが取れないじゃありませんか。そんなわけで――そんなわけですからお客様も、けんのんがって、お座敷もめっきり減ってしまいました。それは災難と思って諦めましょうけれど……」

ここで、福松が思い迫って、おいおいと手ばなしで泣きました。