Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

なされたが、道庵先生ほどのものが、たかが小娘のお雪ちゃんにあって、その鋭鋒を避けなければならんというような、卑怯未練な振舞はあるべきはずはないのです――果して、陣形を立て直して道庵先生が、しかつめらしく構え出してお雪ちゃんに答えました。

「そりゃ、人間、生れて来た方がいいのか、生れねえ方が勝ちか、そのことはわからねえね。そのことはわからねえけれど、生れ出て、こうしてピンピンしている以上、どうも仕方が無えじゃねえか――ここでまあ、仮りにわしが、お雪ちゃんを憎いと言ったところで、殺すわけにゃいかず、可愛ゆいと言うたところで、茹でて食うわけにゃいかず」

また、おかしくなりました。可愛ゆいからといって、茹でて食わねばならぬ論理と実際とはないのです。要するに出鱈目です。

「先生、そのことじゃありません、わたしたちがこうして生きているのを、どうのこうのというわけじゃありません、これから生きようとするもの、これから生かそうとするものに就いて先生の御意見が伺いたいのでございます」

「なに、これから生きようとするもの、これから生かそうとするもの、そんなものがこの世にあるか知ら、この一枚看板の一張羅、生かそうと殺そうと、質屋の番頭の腕次第……」