Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

全く、わたくしはお内儀さんになり代っての分までも、旦那様の御看病に尽しましたが、寿命と申すものは、人の真心だけでは、どうにもならないものでございました。お寺様に頼んで回向供養を怠りなくつとめ、この通りお位牌をいただいて帰りました」

こう言って涙を流して若い番頭が申し述べるものですから、さすがのお内儀さんも、よもや偽りとは疑うことができませんでした。一つの罪を完成してみると、それからの狂言もうまくなるものと見えて、本来さほどの悪者ではなかった若い番頭も、もはや全く悪党としての度胸に仕上げを加えてしまったのです。そこで、お内儀さんをも涙ながらにあきらめしめました。

「そういうことで、どうも、いくら歎いても仕方がありません、お前が、わたしに成り代ってまで、そうして看病に手を尽してくれたのが仏へ何よりの供養と思います。何かほかに遺言はありませんでしたか」

とお内儀さんからたずねられて、若い番頭はもじもじとして、

「はい、御遺言のところも、ほぼ伺うだけは伺って参りましたが……」

と言って、なんとなく口ごもる物々しい態度を見て、お内儀さんがおしてたずねました、

「旦那の臨終におっしゃったことを残さず話して下さい、それが、わたしたちの利益になろうとも、不利益になろうともかまいません、旦那の臨終におっしゃったことはいちいち遺言として