Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

そう言われると幸内は、

「それは、どちらが本当か、わたしはよく存じませんが、埋める穴を二つ掘らなければならない現状はごらんの通りなのでございます。そんなら、このお内儀さんは別の人なんでございましょう。私としては、事件の真相などは、どちらでもかまわないのでございますが、そうでした、頼まれた仕事だけはして上げないと兵作さんがかわいそうでございます。では、お嬢様、この辺で、私はお見送りを失礼いたしまして、これから立帰って穴入りを致しますから、これで御免くださいませ」

と言って、幸内は後ろを向いて以前の墓地の方へ取って返した時分には、お銀様の姿は再び松柏の森の中に隠れてしまいました。

六十九

それから、かなり深い松柏の森の中を抜けきって、こなたの裾野へ現われたお銀様は単身でありました。

ところが愛すべき新月は、相も変らず前額にかかって、お銀様の姿を見守りながら下界を照らしているもののようです。

裾野とはいうけれども、もうここへ来ると、限り知られぬ広野原の感じです。胆吹、比良、比叡、いずれにある。先に目通りに水平線を上げた琵琶の水も、ほとんど地平線と平行して、大野につづく大海を前にして歩いているような気分です。