Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
ば、或いは某々の藩を代表する家老格の程度であるかも知れない。いったい、陪臣を以て人間とは見ない当時の江戸の旗本、ましてその驕慢そのものに生きていると言ってよろしいほどの神尾主膳の眼から見ても、心憎いところのすまし方だ。
それを神尾は多少心憎いと思いながら、聞くとはなしにその会話が、ちょうど、すぐ卓を隔てて自分の対岸にいるものですから、聞きとらざるを得ませんでした。
或いは低く、或いは通常音で、たまには豪笑を交えたりなんぞして語る二人は、傍若無人のようですけれども、その点はあまり、聞いていても悪感を持たしめない品格があるにはあるのです。そのうちに商人の方がこういうことを言い出したので、今までとは話題の変った会話に花が咲きました。
「実は、ここに秘密な大金があるのでございます、その大金はまずわたくしだけが存じているといった性質の金でございますが、この辺でその秘密をブチまけても、もう祟りはございますまいと存じます――寝かして置くのも惜しいものですが、そうかといって、使用者にその人を得なければ容易ならぬ災禍の元となりますが、失礼ながらあなた様が、あれをお使い下さると、金も生きて参ります、もしまた何か行違いが生じました時は、わたくしが、あなた様のために立派に責任を負ってしまってよろしいと存じております」