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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

早く隠居してしまいたい――と、漫然としてこういう歎息と、その実現を望んだことは、今にはじまったことではなかったのですが、隠居してさてどうなる、ということを、ついその実行者として引取って考えてみると、自分には隠居ができないということを、すぐに悟らざるを得ないのです。

あととりがないということです――今や天地間に自分の家を譲るべき血統の人としては、お銀様のほかにはないのです。そうして、その唯一の継承者たるべき人は、また唯一の反逆者でした。

後妻の子は、後妻と共に非業に生涯を終っている。養子をする――ということになると、果してこの家を譲り、自分をして安心して眼を瞑せしむるほどの養子がどこにいる。どこを探したら出て来る。親類――それに頼みになる奴があれば今日のことはないのだ。この甲州第一等の祖先伝来の身上を、今どうするか。

伊太夫は、どうかすると、昔の仏説などにある長者物語のようなのを身に引当てて考えて、いっそ、持てるもののすべてを世に喜捨報謝してしまったら、とさえ、考えるだけは考えてみたことも再々でした。

だが、喜捨報謝してみたところが、これだけの身上を受けきれる人がどこにあるのか。