Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなら、これから、どこへどう逃げようというのだ」

「それだけは、わたし、もうこの頃中から考えて置きました、表通りはいけません、お蘭さんのように、要領よくやってしまえば格別ですが、今となっては、表から美濃や尾張へ逃げ出そうとするのは、網にひっかかりに行くようなものでございますから、これから北国へ逃げるのが一番ですわ。それには白山行者の真似をして、加賀の白山へ逃げるつもりなのよ、それが一番かしこい仕方だと思ってよ。そうして、わたし、ちゃあんとその道筋を、自分で絵図にかいてこの通り持っておりますのよ」

と言って、女は懐中から、一枚の絵図を取り出して臆面もなく兵馬の前にひろげました。

なるほど、この女自身が、人に秘めて、手がけたものと見えて、絵もなっていないし、文字のまずいこと、一目でわかるけれども、この際、恥かしがったり、恥かしがられたりする場合ではないと見え、兵馬は燈を引寄せて、光をその図面の上に落しました。そうすると女が言う、

「加賀の白山様へはわたくしも、生のあるうちに一度は御参詣をして置きたいと思いました、御一緒に参りましょうよ」

危険区域を脱出したい心境が、早くも白山参詣の心願とごっちゃになってしまっている。