Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
そうすると、そのあたりいっぱいに影を引くように舞い下りたものは例の大きな鳥、以前にも大きな鳥に相違ないとお雪ちゃんはながめたのだが、今度のは、ほんとうに、眼の前、咫尺の間に羊角して飛び下って行くのですから、とやから追い下ろされた鶏を見るほど鮮かに、その鳥の形を見ることができて、ハッと眼を澄ましました。
「鷲!」
と直覚的に、お雪ちゃんはさとりました。鷲の実物をまだこんなに近く見たことのないお雪ちゃんでしたけれども、鷲でなければこんな大きな鳥はあり得ないという直覚と、実物では目のあたりに見ないが、絵ではずいぶん見せつけられている猛禽の王の姿が、はっきりと眼の前に落ちたのです。
眼をすましていると、右の猛禽は、すさまじい勢いで羽ばたきをして、羊角に中空を押廻り、それから急に翼を旋回して、ほとんど地上とすれすれに舞い下り、そうかと思うと、また相当に高く舞い上っては、思い出したように直下して来るかと思えば輪なりになって舞っている、その挙動が何となしに尋常でないことを想わせられてなりません。
右の大鷲は、いったん胆吹のとまり所へついたが、何をか見つけたものだから、また飛び戻って来たのだ、何かこの下の平原で見つけものをしたものだから、それを捕りに来たものらしい。