Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
天上の天の川がすっかり凍って、その凍った流れが滝になって、この世界の地上のいちばん高いところから、どうっと氷の大洪水が地上いっぱいに十重も二十重も取りまいて、人畜は言わでものこと、山に棲む獣も、海に棲む魚介も、草木も、芽生えから卵に至るまで、生きとし生けるものの種が、すっかり氷に張りつめられて絶滅してしまう。わしは信州にいる時にそういう夢を見たが、醒めて見ると山が火を噴き出したといって人が騒ぎ出した、火と水との相違だが、いずれ天然の呼吸の加減で、人間というやつが種切れになる時があるにはあると思っているよ」
「そうですね、夢にだけはそんな時があるかも知れないが、まあ、この世の中をごらんなさい、眼の見えない人は格別、わたしたちのような眼で見ると、まだまだ地面は若々しく、人間には油がありますね。こうして地面と人間とが生きて見せびらかしている間は、いかに絶滅論者でも、自分の手で死なない限り、死ぬことさえが儘にはなりますまい。御退屈でも、あなたの想像するその絶滅の日の来るまで、そうしてお待ちなさい」
「堪らないな、いつその日が来るんだ、その絶滅の日が来るまでは、ここを出られないのかい」