Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして世話役に向って言うことには、

「わしゃあ江戸者だがね、上方見物の途中なんだがね、はからずこの地へ来て皆さんの芸術を見せていただきやしたが、正直感心いたしやした。どうして本格でげすよ、これなら三都の大歌舞伎へ出したって、ちっとも恥かしいことはねえ。失礼ながら皆さんが、これほどにお出来なさるたあ気がつかなかった。わしも若い時ゃ芝居がでえすきでね、大白猿や鼻高盛んの頃には、薬箱を質に置いても出かけたもんだがね、近頃、江戸も役者の粒がぐっと落ちやした。役者の粒が落ちたんじゃねえ、こっちの眼が肥えたんだという説もあるが、そりゃどっちでもかまわねえが、近頃ぁとんと夢中になりきれるほどの役者が出ねえんでね。だから、一分線香や俄か道化師の方が罪がなくて、おもしれえくれえのものなんだが、今日まあこうして御縁があって、皆さんの芝居を拝見させていただきますてえと、どうして、すっかり本格だあね。第一、チョボの太夫さんが確かなもんだ。役者衆だってその通り。それで実ぁ、内心、はじめのうちはね、これほどはやるめえと甘く見てかかったのが拙者の眼の誤り、あんまり皆さんの芸術に感心したもんだから、お礼とお詫びをかねて、お近づきに罷り出たというようなわけなんでげす。