Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
さいぜんから暖められていた鍋の中のものは、栗が茹でられていたのです。そうすると、お雪ちゃんは火箸を鍋の中にさし込んで、その茹でられた栗の中から大きいのを一つ摘み出して、さいぜん米友が上向きに炉の真向のところへ置いた鍋の蓋の上に載せ、
「友さん、ゆだり加減はどうですか、ひとつお毒味して頂戴な」
「よし来た」
米友はそれを受取って、吹きさましながら皮を剥いて、食べ試み、塩梅を見ながら、
「そうさ、もう一時うでた方がいいだろう」
「そう」
で、新鍋は蓋を取られたまま、熱湯を縁から落さない程度でしきりに沸騰をつづけておりました。
「明日は、これでキントンを拵えて、友さんにも御馳走して上げますよ」
「有難え」
きんとんをこしらえて、友さんにも御馳走をしてやるという言葉で、友さんにだけ御馳走するのでなく、友さん以外の人にも御馳走してやるという心構えがよくわかります。
事実――お雪ちゃんが、こうして引続き野菜の料理専門にかかっているのは、この変態家族の賄方を引受けているというのみならず、このごろ入れた幾多の普請方の大工、左官、人足などにまで配布すべきお茶受けの糧までもその手であしらっているのでした。