Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
三十六
その翌日も、異常な興味を以て本草学の研究と整理に熱中していた道庵先生が、お正午頃になると、急に大きなあくびとのびを一緒にして、カラリと筆を投げ捨てるが早いか、座右の一瓢を取り上げて、そそくさと下駄をつっかけてしまいました。どこへ行くかと見ると、早くも長安寺の石段をカタリカタリと上りつめて、それから尾蔵寺の方へ抜ける細い山道を、松の根方をわけながら、ゆらりゆらりと登って行くのです。
ほどなく山腹の平らなところへ出て見ると、ここに、一風変った十三重の塔みたようなのがある。高さ一丈ばかり、とても十三重はないけれども、その塔の様式が少し変っているものですから、道庵先生は立ちよって、ためつ、すがめつ、石ぶりをながめていましたが、石刻の文字が磨滅してよく読み抜けないでいました。
すると、少し離れたところに、落葉を掃いている中年僧が一人おりましたが、道庵先生が、特別に注意を払って、右の十三重まがいの塔をなでたりさすったりしているのを見て、我が意を得たりとばかり、右の中年僧が箒を引きずりながら近寄って来まして、
「よいお天気ですな」
と言いました。