Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
その時、犬の吠える声を聞くと、今まで熟睡していた米友が、ガバと身を起して、
「今、犬が鳴いたなあ」
犬ならば吠えるというのが正格であろうけれど、鳴いたと口走ったのは、それと前後して鶏の鳴いたその混線のせいかも知れません。次の間に寝ていた不破の関守氏も、もうこの時分、すっかり覚めておりました。
「誰か来たようだよ」
「いま犬が吠えたねえ、おじさん」
誰か来たか来ないか、そんなことは注意しないで、犬の音声だけが特に気がかりになるらしい。
「吠えたよ、だから、誰か人が訪ねて来たと思っているのだ」
「今の犬は、ただ犬じゃあない」
と米友は、ただこれ、犬にのみ執着している。
「ただ犬じゃねえ」
と不破の関守氏は、隣室から米友の口真似をして、
「すばらしい犬だ、起きたら君に見せてやる、それは二つとない豪犬だ」
「二つとねえ犬……」
「そうだ、朝の眼ざましにはあれを見てみるかい」
「早く見てえな」
米友は、たまり兼ねて、ハネ起きて、その犬を見たがる気配を関守氏が感じたものですから、
「まあ、待ち給え、逃げろと言ったって逃げる犬じゃない、起きてから、ゆっくり見給え」
「ただ犬じゃねえ、腹で吠えてやがる」