Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「要らざることだ、女子供ではあるまいし、一人歩きのできない身ではない」
「ではございましょうが、お見受け申すと、どうやら不自由なところがございます御様子、ぜひお前、お宿もとまでお送り申せと、このように頼まれたものでございますから、ついその、失礼ながら、お後を」
「廓からついて来たのか」
「はい、左様でございます」
「お前が勝手に頼まれて、勝手について来る分には、来るなとは言わないが、こっちでは頼まぬぞ」
と言いきって、また立ち直って、前へ向って歩み去ろうとしますが、ここまでお後を慕って来たという忍び足は、はい、左様ならと言っては引返さない。
ついと、鼠の走るように走り寄って来て、ついその落し差しの膝元まで来てしまいました。
「はい、あなた様には御迷惑でおいであそばしても、こちらは頼まれたお役目が立ちませぬでござりますから、どうか、お供を仰せつけられ下さいませ、お宿もとまで」
見れば町人風のたぶさが、頬かむりの下に少し崩れている。紺の股引腹がけで、麻裏草履をはいて片膝を端折っている。抜け目がない体勢ではある。
「は、は、は、送り狼というやつかな」
と前なる頭巾が、冷やかに笑いました。