Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
だが、送られて来た覆面の遊客は、こころもち移動して、橋の欄干を背後にしたことによって、この気合を感得したものらしい。ただ、それだけで、柄に手をかけるのでもなく、刀を抜こうでもないが、その身そのままが構えになっている。
源松に於ては、依然として三間ばかりを遠のいた地点にいて、あえてそれより遊客に近づいては来ないのです。源松の眼を見ると、二つの眼を、二つに使い分けをしていることがわかる。すなわち一つはこの橋上の送り狼に、もう一つは川下をわたる二人の乞食に、双方に眼を配って、一本の捕縄をしごいて、空しく立っているらしい。
それはそのはずで、優れた猟師といえども、方向の違った二つの兎を同時に追うことはできない。まして、相手は兎ではなくて狼である。
このきわどい場合にも、さすがに源松は打算をしました。そこで、がらりと気分を崩して、あわただしく、いったん取り上げた捕縄を再び懐中にねじ込んでしまって、
「いや、どうも、川下に変な奴が川を渡っておりまするでな、ひとつ様子を見届けて参りたいと存じますが、その間、相済みませんが、ここで暫くお待ちを願いたいのでございます、なあに、直ぐ戻って参ります、どうか、暫くの間、ここのところで」