Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「これは、近藤に頼んで僕が書いてもらったのだ、彼の詩だよ、七言絶句だよ、いいかい、僕が読み且つ吟ずるから聞いて居給えよ」
と斎藤は婆心を加えた。読めと言うのは無理だが、聞けと言うのに無理はない。そこで斎藤は、壁にかけた唐紙半切の二行の文字を読みました。
百行所依孝与忠 取之無失果英雄
英雄縦不吾曹事 豈抱赤心願此躬
「百行依ルトコロ孝ト忠、之ヲ取ツテ失フ無キハ果シテ英雄、英雄ハタトヘ吾曹ノ事ニアラズトスルモ、豈赤心ヲ抱イテ此ノ躬ヲ願ハンヤ――」
と吟じ了って斎藤が、附け加えて言う、
「彼は知っての通り武州多摩郡の土民の出で、天然理心流の近藤家へ養われて、その四代目をついだものだ。天然理心流というのは、彼の先祖が立てた一流だが、新陰や一刀流の如き立派な由緒はない。この詩は彼が先頃、養父近藤周斎の病を聞いて心痛のあまり、幾度か養父の病気を見舞わんがために東へ下ることを願ったが聞き入れられない、今のところ、この京都のお膝元から、近藤に離れられたのでは代るものがない、たとえ親の病気といえども、朝幕に於て今の近藤を放せないというのは無理がない、よって近藤が悲しみを抑えて詠んだ詩がこれなんだ。