Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

だらだら坂を少し上って行くと、門があり、植込がある。玄関へかかって、

「頼もう、旅のものでござるが、一風呂浴びさせていただきたい」

しばらくは返答もなかったが、ややあって、

「お越しやす」

ようよう現われたのは、やはり女で、しかも今度のは丸髷のすごいような大年増、玄関に現われるや否や、不破の関守氏と面を合わせて、

「あら――関守の先生でいらっしゃるわ」

「やあ、これはこれはお宮さん、珍しいところでお目にかかりましたな」

不破の関守氏が、熱海海岸の場の貫一さんのような発言をして、さすがの策士も、ちょっと度胆を抜かれたようでしたが、先方も相当、心臓を動揺させたと見えて、

「どうしてまあ、関守の先生、いつごろ、こんなところへ――何はともあれお上りやして……」

十二分の面見知りであるらしい相手で、すっかり納まり込んだ関守氏は、玄関に腰うちかけていい気持で草鞋の紐を解く。

それにしても、今日は関守氏、ことのほか艶福の日と見えて、走井の水をたずねた時は花売りの乙女――寒雪画伯の別荘で名所を見せてくれたのが極めて尋常ながら、これも年に於ては不足のない妙齢の処女、こんどこのところへ来て見ると、現われたお宮さんがすごいような丸髷の大年増ときている。