Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
恬然として答えるよう、おれはもう女を卸してしまったが、貴様はまだ女を背負っている!
そうだ、そうありそうなことだ、おれはまだ女と別れていないのだ、と宇津木兵馬が、むらむらとそのことを考えました。兵馬は自分が潔白無垢な身上だとは信じていない。色里に溺れて人を泣かせたこともあるし、女に対しては脆いものだという過去の経歴を自白せざるものあるを悲しむ。だが、妙に人見知りをして、意地を張ることもあるにはある。迷うべき時には迷うが、迷わざらんと意地を張れば、張り通すこともできるのだと信じてもいるし、また相手次第によって、人見知りをする引け目か用心か知らないが、一髪に食いとめる体験をしていないではない。お松のような堅実な女性には、どうも、いくら真実が籠っていても、狎れることを為し得られないし、お絹というような爛れた女の誘惑は、逃げることも知っているが、今度の道中では、あの大敵を道づれにして、とうとう自分の節操を守り通して来たということに、多少とも勝利に似たような快感を覚えて、かく引上げては来たのだが、ここへ来るまで、何やら言い知れぬ空虚を感じ、綿々としてあの女のために糸を引かれてたまらない。