Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
さきに流れた、誰にも認められるべきところの酒器台盤がそれに先行して行く。見ようによると、一匹の大蛇が、その酒器台盤を追うて、これを呑まんとして呑み得ざるままに、追走してのして行く形に見えて、いっそう物すごくなったのです。
一座は無言で、ゾッとしたままで、その酒器を追う平面毒竜の形を見入ったまま、水を打ったように静寂に返りました。
そうすると、暫くあって、その毒竜の尾について、間隔は二三間を隔てて濫觴のような形のものが二つ、あとになり、先になり、前なるは振向いて後ろなるを誘うが如く、後ろなるが先んじて前なるものに戯るるが如く、流れ流れて行くものを認めないわけにはゆきません。
「あれはポックリです――女物の、二十歳前の女の子でなければ穿きません」
噛んで吐き出すようにお角さんが言う。それが一層のまた凄味を物言わぬ一座の上に漂わせたと見えて、ちょっと目をそらす者さえあったが、憑かれたように、その行手を見据えているものも多かったのです。
湖上はと見れば、その時、立てこめた一面の霧です。
行手も霧、返るさも霧、ただその霧が明るいことだけは、霧の上に月がある余徳なのであって、この霧の中を迷わずに進み得るのは、船頭そのものの手練である。